拝啓 あでやかな錦繍の日々も過ぎ、朝夕の寒気が身にしみるころとなりましたがいかがお過ごしでしょうか。
あなたが私の元へ来て、これで何度目の冬を迎える事でしょう。 あなたと初めて出会ったのも、やわらかな光の降りそそぐ小春日和の日でしたね。 今でも目を閉じるとまるで昨日の出来事のように思い出されます。
あれからずいぶんと長い時を共に過ごしてきました。 寝起きの悪い私を、いつも優しい笑顔で迎えてくれましたね。 私が寒さに震えているとき、あなたは暖かく包み込んでくれました。
これから遠くへ旅立ってゆくあなたですが、お風邪などお召しにならないようご用心下さい。
かしこ
追伸
私は近日中にあなたの代わりの石油ファンヒーターを買いに行く予定ですので、他事ながらご休心ください。
別れ
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