[1]取りあえず目標を
やることは題名の通りで、質点系を考えるわけではなく、大きさのある剛体を考えることにします。
もちろん最初はもっとも簡単な2Dでの回転運動を考えます。
当面は以下のもっとも単純と思われるプログラムを作ることを目標にします。
[2]剛体とは
剛体とは、簡単に言ってしまうと「変形しない大きさのある物体」というイメージですが、
力学的に扱うならばイメージでは語れないので、まずは今ある知識からこのイメージに近いものを作っていくことを考えます。
さて今まで扱ってきたのは大きさのない質点でした。大きさのないものからどうやって大きさのあるものを作るのかという話ですが、
まぁまずは数を増やしていくのが妥当でしょう。
2次元における1質点系では自由度は2( x座標y座標 ) でした。
この質点をどんどん増やしていくことで、物体に大きさを持たせていくのが基本的な考え方です。
剛体を近似的にN個の質点に置き換えることを考えてみましょう。
今N質点系における自由度は2Nです。
しかし剛体とは「変形しない」という性質があるために、互いの質点間の距離は固定されています。
仮にN個の質点のうち1つを選んだとすると、その質点とほかの質点との距離N-1個は決定されるために、自由度は2N-(N-1)個となります。
N=2であれば、これ以上自由度は減らせないのですが、Nが3以上だとこれでもまだ方程式は大量に必要です。
そこでもう一つ質点を選んで、その質点とほかの距離が一定であるという方程式を作るとすると、最初の質点との距離以外がまた決定されるために
自由度はN-2個減ることになります
結果的に互いの距離が一定なN質点系における自由度は 2N - (N-1) - ( N-2 ) = 3となります。
(2Dでは異なる2点からの距離が固定されると、その点の位置は固定されてしまい、それ以上の方程式は独立性が確保できないので3つ目の質点を考えることは無意味です)
・・・これはNに依存しないので、独立な3つの方程式があれば、Nが無限大になったとしても(つまりどれだけ精密に考えたとしても)剛体の運動は理論上解けることになります。
2つの自由度は明らかで、最初に着目した質点の座標x,yです。
残る一つの自由度は何かという話ですが、これは最初に着目した質点から2番目に着目した質点への角度に関する自由度です。
必要になる方程式ですが、当然のことながら2つの方程式はx,y座標に関する運動方程式です。
つまるところ剛体の運動を考えるには、運動方程式と、もう一つ角度に関する方程式があればいいということになります。まずはこれを探すことにしましょう。
ということで次回は慣性モーメントの話をすることにします
力学の入門 : 9 「剛体の回転運動」
力学の入門 : 9 「剛体の回転運動」
最後に編集したユーザー GRAM on 2013年1月01日(火) 02:13 [ 編集 4 回目 ]
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