[ 1 ] 座標系
平面上に存在する点の位置を表そうと思えば、主に2つの方法が存在します。
①ふつうにx座標y座標を用いて表す。
②もしくは半径と角度を用いて表す。
①は通常の方法です。②は平面上に原点をとり、そこから適当に直線を引いて、その直線からの角度と、原点からの距離を用いて点の位置を表します。
一般的には
①の表し方を直交座標系
②の表し方を極座標系といいます。
他にも無数にとり方がありますが、主に用いられるのはこの2つでしょう。
3次元でも同様に座標の取り方は複数あります。
まずはxyz直交座標系
それから2Dの極座標に高さを加えた円筒座標系
もしくは緯度経度に加えて半径を用いて表す球面座標系、この3つが一般的だと言えます。
さて、ここで一つ注目するべき点があります。
2Dであれば点の位置を表すのに2つの変数が、
3Dであればもう一つ増えて3つの変数がいかなる座標系においても必要であるという点です。
[ 2 ] 自由度
さて、ここで自由度という概念を導入します。
2Dの1質点の位置を完全に記述するために必要な変数は2つでした。
ここで2Dの1質点の自由度を2と決めます。
同様に3Dの1質点の自由度は3です。
これだけでは特に使い道がないので、質点の数を増やしてみます。
たとえば2Dで二つの質点がある場合
一つ一つの質点の自由度は2なので、
自由度は4になります。
…ここで自由度が4というのはどういうことを表すのかという話になります。
自由度とは、その系に存在するすべての質点の位置を決めるのに必要最低限の変数の個数です。
自由度が4であるということは、2つの質点の位置を完全に決めてしまうのに、最低4つの独立な変数が必要であるということです。
座標が2つなんだから当たり前じゃん。と思うかもしれません。
しかし何も2つの質点の位置を表すのには2つの座標を用いる必要はないのです。
たとえば
「一つの座標と、質点間の距離、それから質点の存在する方向(角度)」
という表し方もできます。
この場合でもやはり必要な変数は4つになります。
…だからなんなんだ。とまだなるでしょう。
しかし状況によってはこの自由度を考えることによって問題を一気に簡単にできる場合が存在します。
たとえば次の振り子を見てみましょう。
振り子は2D平面上で揺れています。
今重りの位置を決めてしまいたいとしましょう。
重りは質点なので、x座標とy座標の2つの変数が必要である…と思うところですが違います。
実際には重りは糸によって糸の長さを半径とする円周上に位置を拘束されています。
なので実際には糸の角度を表すΘという一つの変数で、位置が決まってしまいます。
つまりこの場合重りの自由度は1です。
つまり最低1つの変数を用いれば、位置は決定されてしまいます。xとyという2つの変数は必要ないのです・・・
・・・そんな馬鹿な、だって重りにはx座標とy座標を定義できるじゃないか。というのはもっともな意見です。
しかし、実際にはx座標とy座標は自由に決められるわけではありません。
糸の長さlを用いて
x^2 + y^2 = l^2という公式を満たす範囲でしか動くことができないのです。
これをxとyに与えられた拘束条件(もしくは束縛条件)といいます。
この拘束条件が1つあるがために、自由度が一つ減っています。
つまり自由度は、仮に冗長な変数を含んでいたとしても(この場合でいえば最低限必要なΘではなくx,yを用いたとしても)
自由度= (位置を決める変数の個数) - (その変数の満たすべき方程式の数)で求まります。
そして、今後大事になってくることとして
基本的に束縛条件を満たすようにシミュレーションすることは大変である
という事実です。
今の振り子の例でいえば、x座標とy座標を用いて振り子をシミュレーションするよりも
Θを使ってシミュレーションするほうがはるかに簡単に運動を記述できます。
例外は多々ありますが、基本的には独立変数+束縛条件となるように座標系を定めるより
独立変数のみであらわせるような座標系を定めたほうが簡単です。
上の振り子の例でいえば、極座標を用いたほうが簡単でしょう。(rはlに固定されており実質的に必要ないから)
さて、武器がそろったので次はついに剛体を回転させることにします。
力学の入門 : 8 「自由度」
力学の入門 : 8 「自由度」
最後に編集したユーザー GRAM on 2012年11月29日(木) 15:54 [ 編集 2 回目 ]
コメントはまだありません。