力学の入門 : 3 「微分と積分(2)」

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GRAM
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力学の入門 : 3 「微分と積分(2)」

投稿記事 by GRAM » 13年前

積分の話をしましょうか。

[ 1 ] 積分

微分がグラフの任意の位置での傾きを求めることに相当するとしたら、
積分とは以下のようなグラフの面積Sを求めることに相当します。 (図1)
ただし、グラフのy座標が負の時は面積も負であると考えます。 つまりx=0から2でy=-2のとき、 その部分の面積は-4 とします。
積分1.png
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さてそんなものどうやって求めるの? というのが下の図2です。
今黄色の部分の面積⊿S(まずは全体の一部分に着目します)は、 あるx座標 と 微小な幅⊿xを用いて  f(x) × ⊿x で表現できます。
なぜなら、⊿xが十分小さければ、f(x)とf(x+⊿x)はほとんど変わらないと考えられるからです。 (この辺は雰囲気ですが)
f(x)≒f(x+⊿x)ならば、 面積⊿Sは縦×横 つまり長方形の面積として求められます。

ここで⊿S = f(x) × ⊿x という表現に着目してください。 ・・・見たことないですか?

加速度のところで出てきた
⊿v = a|(aバー) × ⊿t で、 ⊿v → ⊿S,  a| → f(x), ⊿x → ⊿t とすれば全く同じ公式にたどり着きます。

だとすると、
a| = ⊿v / ⊿t において⊿t → 0 としたとき a = dv / dt つまり加速度が速度の時間微分だったのと同じように

f(x) = dS / dx つまりf(x) は 面積S を xで微分したものだと言えてしまいます。

・・・いま求めたいのはSなのですから、 微分した結果f(x) になるような関数S(x) を求めてやればいい  という話になるわけです。
この操作のことを「積分する」といいます。
一般に積分は微分に対して「はるかに」難しい作業になります。 これは掛け算より割り算が、合成数を求めるよりも素因数分解のほうが難しいのと同様の話です。

まとめると、
「積分とは微分の逆の計算をしてやることで求まる」 ということです。

ただし、繰り返しますが難しいので一般には公式を覚えるしかありません。
たとえば x^2 + c (cはなんでもいい) を微分すると 2x になるから 2xを積分すると x^2 + c になるといった具合です。

もちろん速度と加速度の話に還元すれば、「速度とは加速度を時間で積分したものだ」といえます。

[ 2 ] 定積分と不定積分

さて、積分の雰囲気はグラフの面積を求めることとしてもらって差し支えないのですが、
一つ問題が発生します。
というのも微分したときは、たとえばx = 4の位置の傾きは? と聞かれれば即座に1つに定まるのですが、

同じように「 x = 4の位置での面積は? 」 と聞かれても困ってしまいます。
なぜなら「 どこから 4 までのめんせきやねん! 」 となるからです。 x = 0から? x = 4から? x = -3から? という風になってしまいます。
しかも悪いことに積分して求めたS(x) という関数は「どこからどこまでの面積を指しているのか?」 ということには全く触れていません。
それどころか「いかようにも取れる」 という厄介な代物です( 別の言い方をするとS(x)は複数存在する、たとえばx=0からの面積だったりx=4からの面積だったりそれぞれ求められる )

なので、次のように考えます。
今図の水色の部分の面積を求めたいとしましょう。つまりx=a から x=bまでの面積を求めたいとします。

しかし残念ながら求められたS(x)は cからの面積を与えられたとします。(S(x)は複数あるので、どこからの面積なのかはわからない)
そこでaからbまでの面積を求めるために、 オレンジの斜線の面積から、緑色の面積を引くことをします。
つまり S(b) - S(a) を実行します。

そうすると残った部分の面積が水色となって無事面積が求められます。 めでたしめでたし。 となるわけです。
積分2.png
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ここでS(x) を求めることを「不定積分を求める」といいます。(S(x)は定まらないから)
またS(b) - S(a)を求めて面積を決定してしまうことを「定積分を求める」 といいます。
もちろん不定積分が求まれば、定積分は簡単に求まってしまいます(代入して引き算するだけ)

関数f(x)を与えたとき、その不定積分はS(x)ではなく、よくF(x)と文字を大文字にしてあらわされることが多いです。
そして、F(x)は次のような記号であらわされます。
定積分と不定積分.png
定積分と不定積分.png (10.17 KiB) 閲覧数: 108 回
正直どうでもいいのですが∫f(x)dx はインテグラルエフエックスディーエックスと読みます。
f(x)dxが微小な面積を求めてるんだよ!という意味で∫はそれらをぜーんぶ足し合わせてね!という意味です

上が不定積分、下が定積分ですね。不定積分に残っているCというのは、微分したら消えてしまう項で、「定数項」とか呼ばれます。
というのも y=一定であれば傾きは常に0なので、微分しても残らないからですね。 この項がF(x)が定まらない原因を作っています。
しかしこの項は定積分を求めるときはC-C = 0となるので、影響が出ません。[]で囲っている部分は表現上便利なので使いますが、F(b) - F(a)と同じことです

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もうそろそろ数学をやるのをやめて物理をしたいのですが、次の合成関数微分と部分積分、あといくつかの公式を説明しないと
いろいろ詰むので、あと一回だけ数学の話をします。
こういっちゃなんですが、微分積分の活躍の場は物理の世界だと思います。実際高校まで微積抜きでやっていたのが信じられないほどです。

To Be Continued...

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